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第4章では、これまで以上にキャラクターに感情移入していただける色彩を意識しています。#3 色彩設計:合田沙織

原作の魅力を引き出す色彩の妙

はじめに、合田さんはどういった経緯で劇場版「ペルソナ3」に関わられることになったのでしょう?

私はTVアニメ「ペルソナ4」から、ペルソナのアニメ作品には関わらせてもらっていまして、その流れというのが大きいですね。今でもはっきり覚えているのですが、TVアニメ「ペルソナ4」の第13話で、ラブリーンのエンディングを仕上げているときに、プロデューサーに肩を叩かれて「ペルソナって、『4』だけじゃないんだよ」って言われたんです。それで、あ、なにかあるんだなと察したのを覚えています(笑)。

合田さんが関わられている、色彩設計とはどのようなお仕事になるのでしょう?

主にキャラクターの色を作っていくお仕事になります。人物だけでなく、「ペルソナ」という作品ならばペルソナやシャドウ、キャラクターが持つ小物など動きに関わるものはすべてですね。また、火炎スキルなど攻撃のエフェクトの色なども決めています。それぞれ、原作で設定されている色があるのですが、意外と媒体によって色が異なることがあるので、そのなかからどの色を選ぶかというのも、私の仕事です。そうした色の選定に加えて、コントラストやハイライト、影のバランスなども決めています。「ペルソナ3」の場合なら、そうした数々の要素から、いかにして副島成記さんのテイストを出せるかが重要になってきます。

原作の色から大きく変えるということはないのでしょうか?

基本的に変えることはありませんね。「ペルソナ3」なら、ファンが見たいのは副島さんの絵が動いていることだと思いますし、私もそれは同じ思いなので、変えたくないというのが正直なところです。アニメならではのものが出てきたとしても、その世界観にあって違和感のない色になるよう意識して設計しています。

劇場版「ペルソナ3」のなかで、オリジナルの色彩設計をされたシーンなどはありますか?

オリジナルとなると、影時間の色彩は試行錯誤しました。影時間は普通の夜の色彩ではなく、おどろおどろしい不気味な雰囲気が特徴だと思います。その不気味さを表現したうえで、そこにキャラクターを立たせて違和感がないように作らなければいけないので、かなり苦労しましたね。

これまで、第1章から第3章までの色彩設計されてきて、とくに気に入っているシーンを挙げるとすればどのシーンになりますか?

色彩として気に入っているのは、私が大好きな色でもあるベルベットルームのシーンですね。ベルベットルームのシーンは、田口監督とも話し合って決めた色で、監督も気に入ってくれたこともあってTVアニメ「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」には逆輸入されているんですよ。あとは、第1章で主人公の結城 理が学生寮にはじめて訪れてファルロスと契約するシーンも思い出深いです。あのシーンは、夜のシーンなのですが、キャラクターの色が通常の夜の色彩とは異なるものになっているんです。ファルロスとの契約ということで、普通とは違った色彩にしたいという意図だったのですが、上映された色彩になるまでかなりの手を加えたので、もう1度同じ色を作れと言われても無理かもしれません(笑)。

ちなみに、キャラクターのなかでお気に入りを挙げるとすれば誰になりますか?

悩ましいところですが、タカヤですね! 本編のストレガも好きなのですが、マンガの「タルタロス劇場」のストレガがすごく好きで、すっかりタカヤのファンになってしまいました(笑)。

第4章の見どころは、理の心象にあわせた色彩の変化

合田さんは、TVアニメ「ペルソナ4」にも携わられていますが、TVアニメと劇場アニメで作り方の異なる部分はありますか?

劇場アニメは、真っ暗ななか、大きなスクリーンに光が投影されるので、TVアニメと比べるとどうしても光が拡散してしまうんです。それもあって、劇場アニメでは色を強めに設定しています。

その劇場版も、第4章でついに最終章となります。最終章を意識して作られているシーンなどはありますか?

理の心象にあわせて、色も変わっていくという作りになっているので、そこは注目してもらいたいです。第4章は、全体的にシリアスな内容が連続するのですが、その緊張感を色彩でも表現しています。そうすることで、キャラクターの感情が見ている方に伝わりやすくなる効果もあるので、これまで以上に感情移入して楽しんでいただけると思います。もちろん、暗いだけではなく理の覚醒を感じさせるような色も用意しているので、楽しみにしていてください。

そんな劇場版「ペルソナ3」の制作チームは、合田さんにとってどのような存在でしょうか?

ひと言で言うなら、“戦友”ですね(笑)。幾多の困難を乗り越えてきた仲間なので、チームワークはバツグンだと思いますよ。

では最後に、第4章を楽しみに待っているファンにメッセージをお願いします。

アニメの「ペルソナ」とも、もう4年もの付き合いになります。第4章では、その集大成となるフィルムをみなさんに届けるために、現在進行形でがんばっているところです。必ず最高の作品に仕上げるので、ぜひ劇場まで足を運んでいただければと思います。